■オタクの、オタクによる、オタクのためのフリーマガジンを創刊
Q.『月刊ひろたつ』は、どなたかのお名前がそのまま媒体名になっていますよね。ネーミングの由来や創刊のきっかけを教えて下さい。
最初は、2005年に立ち上げた『オタク系SNSサイト otaba(オタバ)』(以下、『otaba』)の普及の一環としてフリーペーパーを発行したのがきっかけです。
『otaba』というベースとなる“トンカチ”で、新しい物を作っていこうという感じでしたね。去年の11月に『maid walker』という名前で創刊しました。
当初フリーペーパーでは、「オタク」ではなく「ぬるオタ※」の方をターゲットにしていたことや、新規の『otaba』ユーザー(以下、Web会員は「ユーザー」に統一)
獲得の意味もあって、『otaba』サイトにはあえて『maid walker』の告知をしないなど、Webと誌面を連動させていなかったのですが、もっとユーザーの存在を活かした、
弊社でしか作ることのできない誌面を作るべきだろう、ということになり、リニューアルへと動き出しました。
ユーザーの方々からアイデアを募り、媒体名も公募と投票によって選ばれたのが現在の『月刊ひろたつ』です。
「ひろたつ」というのは、『otaba』サイトの管理人の名前で、ユーザーにもとても人気があるんですよ。こうして今までよりもWebと紙両方から、幅広いオタクの方に喜んでいただける媒体として再創刊しました。
Q.御誌の主な特徴や誌面作り等で工夫されている点を教えて下さい。
オタク系SNSサイト『otaba』を運営していて思うことは、ユーザーがとても協力的であることです。私たち管理者側に対しても、ユーザーが同じ「仲間」として扱ってくれるので、ユーザーと近い距離で媒体を作ることが出来ています。
同じように『月刊ひろたつ』に関しても、ありがたいことに一字一句読んでくれている読者ばかり。
『otaba』主催のオフ会やイベントなどでは、直接媒体への意見やアドバイスをもらって誌面の向上を図っています。
毎号おなじみの投稿系のコンテンツや特集記事などは、実際にそういったユーザーの声を反映しながら、作り上げてきました。
現在では、既に5割方がユーザー主体によるページになっています。また、よく読んでくれている読者の方が多いからこそ、
誌面の見やすさや内容のわかりやすさには、特に注意をして作っています。
Q.媒体の配布方法やそのメリットを具体的に教えて下さい。
『月刊ひろたつ』は、毎月30日に40,000部発行しています。
その約40%を秋葉原で配布していまして、メイド喫茶さんなどを中心に設置してもらっています。
残りは独自の配布ルートにて、全国のアニメ関連やゲームのショップさんなどに置いていただいています。
ユーザーの約50%が関東という『otaba』のデータも踏まえて、関東を中心に展開しています。
■秋葉原初心者からコアなオタク層まで網羅。「オタク」の視点に立ったメディア作り
Q.ターゲットとする読者に喜ばれているポイントはどの辺りでしょうか?
・コアな読者(ユーザー)には…
「オタク川柳コンテスト」「オタクリエイター発掘プロジェクト」
Webへの投稿がフリーペーパー上で取り上げられるため、発行日当日を楽しみにしてくれているそうです。
・初めて読んでくれた方、秋葉原初心者の方は…
「秋葉原超詳細マップ」!
マップと合わせて、メイドカフェガイドを使って下さっている方が多いようです。
目の前で地図を見てくれている人を、何人も見たこともあります(笑)
・Webでも、誌面でも応募可能な「月刊ひろたつ 特別プレゼント!」
創刊から早くも認知されはじめているページです。
創刊号では、15名限定のアニメのポスタープレゼントに約8,300人の応募がありました!
こういったことから、広告主様からのプレゼントタイアップも増えてきていますね。
Webと誌面両方から募集をかけているので、プレゼントをきっかけに、多くのオタクへのアンケート調査などにもご利用いただいております。
Q.フリーペーパーのほかに、誌面連動したメディア(Web等)や企画がありましたら教えてください。
弊社では、『月刊ひろたつ』のリニューアルをきっかけに、『otaba』との紙・Web・モバイルでの連動展開を実現しています。
今後は、ユーザーの間でも評判の良い『otaba』のオフ会をもっと定期的に実施していきたいですね。
また6月中旬には、『オタバ情報局』というオタク系のニュースサイトもオープンします。毎日ユーザーから口コミ情報を募ることで、量・質共に優れたニュースサイトとなるように、努めていきます。もちろん、ここでのプロモーション(調査・統計・広告など)もご利用いただけるよう、準備中です。
Q.御社メディアを利用された広告主の声はいかがでしょうか?
『月刊ひろたつ』『otaba』共に、広告主様も「オタク向け媒体」と分かった上で
出稿されていますので、読者層を意識した広告がほとんどです。秋葉原にお店がある広告主様ですと、
「月刊ひろたつを持って来店してくれた」「出稿してから来店が増えてきた」といった目に見える反響で
喜んでいただけることも多いですね。
『otaba』に出稿していただいている広告主様も、『otaba』から直接売上につながっている実感があり、長期でご契約いただけるケースも増えてます。
■目指すは、オタバ発「全国民オタク化計画」?!
Q.最後に、御誌の今後の展望についてお聞かせ下さい。
□秋田さん
月刊ひろたつの3本柱、「ユーザー参加型」「SNS・モバイルとの連動」「全人類オタク化」を軸に、
今後も拡大を図っていきます。
特に、「全人類オタク化」というのは、『月刊ひろたつ』最大のコンセプトであり、課題でもあります。
単に露出度を高めたり、コアで質の高いオタク情報を発信したりするだけでは、この実現には至りません。
重要なのは、一般の方にも、オタクやオタク文化に関心を抱かせる、ということです。
クリエイティブなオタクの方々をピックアップし続けるなど、オタクの真の魅力を伝えることで、
一般の方々がオタクに対して抱く既存のイメージを、一新していけたらいいなぁと思っています。
私に言わせれば、何かにとことん夢中になっている方は、全員オタクだと思いますしね(笑)
□新井さん
2008年中に10万人を目指しています。09年には30万人!10年は、弊社に携わった人たち100万人?!が目標ですね(笑)
オタクの方々って、実は凄い高い能力を持っている方が多いんですよ。
現在も『月刊ひろたつ』の中で、「オタクリエイター発掘プロジェクト」というコーナーの中で
そういう方たちを取り上げているんですが、後々はここからクリエイターを輩出していきたいんです。
弊社では、オタクの秘めた能力を活かしてもらうためのバックアップをしていけるような、
「オタクの代理店」を目指しています。
オタクという言葉の持つマイナスのイメージを払拭して、「好きなことに没頭している人=オタク」といったような、可能性のある人を指す言葉にしていきたいですね。
※補足:「ぬるオタ(ぬるヲタ)」とは? /解説:秋田さん
・オタクになりきれていない半端者のオタク
・一般人に近いオタクの方
・オタク系のジャンルに興味を持つが、そこまで熱狂的ではなく、知識も浅い方
・一般人を逸脱し、オタクへと向かう途中の方
…大体こんな意味になります。
「一般人」⇒「ぬるオタ」⇒「オタク」です。オタク度が強まる程、右に流れていきます。